番場さん:
白山といえば、今でこそ「美味しい水」ということで高く評価されるようになりましたが、以前はというと、「白山の麓の平場で育つ石川の米はまずい」と言われ続けてずいぶんくやしい思いをしてきました。とはいえ、今思えばそれがよかったんです。
山下:
それはどういうことでしょう?
番場さん:
「欠点をどう補うか」ということに集中できました。低い評価がそのままバネになったんですよ。
鹿児島で農業を営む知人には、北陸の米は確かに粘りがあって美味しいが甘みがない、と言われました。これが一番美味しいからと差し出された鹿児島のお米を食べてみると、確かに甘いのだけれど、私には少々甘すぎて、食べているうちにいやになってしまったんです。なるほど、美味しいお米といっても人それぞれ嗜好は異なるので、一概に「これが一番!」とは決められないものだなとあらためて思いました。そこで、自分はどんな特長のあるお米を極めるのか、目標を絞り込むことが必要だと感じたんです。
ある展示会に、「健康になる」ということで有名なあるお米が出展していました。ところが試食してみると、さっぱりしすぎていて日本人の嗜好にはどうやらあまりフィットしない品種だったのです。若い人向けの業務用としてならいいかもしれないけれど、一般家庭用としてはやはり、ある程度粘りがある方が美味しいと感じるはずです。そのことがきっかけで、粘りに絞り込んで研究することにしました。そうして粘りに特化した結果、選んだのが「夢ごこち」の品種だったのです。
当時、食糧法が改正されて、誰でもお米を販売できるようになっていました。それに加えて化学肥料米は豊作続きで、どんどん値段が下がってきていたので、慣行農法の稲作農家はお米が売れ残ってしまって厳しい状況にありました。
幸いにも私は、販路の中心が中流意識の高い家庭が集まる地域だったため、従来からの「減農薬の特別栽培」路線にさらに何らかの付加価値をつけることで、価格競争に巻き込まれることなく生き残る方法を考えることにしたんです。
平場でまずいと言われるお米だからこそ、粘りを活かしつつ、体にいいお米を作ろうというふたつの方針に絞り込みました。「夢ごこち」は、まだ誰も知らなかった頃から少しずつ作付面積を増やしてきていますが、風味はもちろん、ネーミングもいいしとても愛着のある品種です。
山下:
番場さんはとても研究熱心な農家さんなのですね。一般的な農家さん達と比べて、少々異質ということはないですか(笑)?
番場さん:
たくさん作って農協に収めるのが農家の仕事ということで、今の社会のニーズなどを考えて作戦を練る(笑)農家は少ないと思いますよ。考えることは、いかにたくさん作るか、だけでしょう。実際のところ、父親の代から農業を継いだ当初は私もそうでしたよ。「腹減ってりゃどんな米でもうまいわ」って。当時はまだ、作れば売れた時代でしたから。
山下:
では先代から農家で、番場さんは当然のごとく後を継がれたのですね。抵抗はありませんでしたか?
番場さん:
実は農業したくなかったんです。正直言って、今でも嫌いです(笑)。遅くに生まれた一人っ子だったので、父親がいつどうなるかわからないからしっかり教え込めということで、一人っ子だからと甘やかされることなく、逆に一人っ子だったからこそずいぶん厳しく育てられました。小学校の頃から、宿題が終わったら田んぼに直行。週末も土曜日のうちに宿題を済ませて日曜日は一日田んぼ。日曜日に子供会の行事があるときは、土曜日に田んぼ。夏休みも、稲刈りが始まる前に宿題を済ませてとにかく田んぼ・・・。大人になったら絶対に農業なんてやりたくないと思っていましたが、でもやっぱり、継がざるをえなかったんです。
農業高校に入るつもりでいたら、中学三年生の担任の先生から、普通高校にいって大学で農学をしっかり勉強してから農家になれと勧められたんです。農業高校を出て農業する時代は終わったと言われて、急遽進路を変更しました。
高校の三年間はバラ色でした。進学校だったので、「しめた、農業しなくていい!」と。ところが、大学入試をひかえた三年生の暮れになって、父が癌と診断されたんです。どうしようかと悩んでいたところに、背中を押してくれた友人がいました。商売やるならゼロからだけど、農業やるなら農地があるんだからイチからだろう、応援してやるよ、という彼のひと言に励まされて、農業短大(現在は県立大学)に通いながら農業を始めることにしたんです。本当はやりたくなかった仕事ですし、今でも好きか嫌いかと聞かれたら嫌いと答えますよ(笑)。
とは言っても、縁があって入った道です。短い一生のうちになんとか自分自身で納得のいく仕事をしなければという思いは当時から強かったんでしょうね。特別栽培米の制度を後輩たちに教えてもらって、理解できないこともみんなが支えてくれたおかげで、たまたま誰よりもいち早く制度をうまく導入することができました。
先ほども話したとおり、最初はとにかく量で勝負でしたが、勉強家の友達に恵まれて、うまい米を作るための勉強会も活発に行いました。
山下:
そういった経緯で、熱心に品種や農法を見直されるようになったのですね。
番場さん:
健康になる米作りということで、EM農法や合鴨農法、有機栽培など次々と試しましたが、どうもそれだけでは自然状況の不利さがあって、決定的な打開策に出会えずにいました。そんな時に、ある友人から20何年ぶりに電話かかってきて、末廣社長を紹介されたんです。
友人に会って聞いた話は、まったく理解できない内容でした。そんな宗教じみたものには関心ないから帰ってくれと、友人を追い返そうとしたくらいです(笑)。
僕の説明じゃ分からないだろうから、直接話を聞いてみろと言われ、初めて末廣社長に会ってみましたが、ますますわからなくなりました(苦笑)。
山下:
お察しします・・・(笑)。でも最終的には納得されたということですよね。
番場さん:
ものは試しにということで、一ヶ月間ネックレスを使ってみたんです。するとなるほど、何故だかはわからないが、いろんな変化が起こっていることに気づかされました。
とりあえず、半信半疑どころかほとんど疑い状態のまま、もしもこれでうまくいったら本気でやろうとだけ決めて、セラミックで作られたBSボール(アポロセラミックレギュラー)を持ち帰ったんです。
山下:
その後は、末廣社長からの指示通りに?
番場さん:
いやいや、とんでもない。どうするんですか?と聞いたら、自分で考えて試してみなさいとだけ(苦笑)。末廣社長によると、ご親戚が所有していた菜っ葉もののビニールハウスの四隅にBSボールを置いてみたところ、無農薬にも関わらず、まったく病気が出なし、虫も元々捨てる部分にしかつかなかったというお話でした。その話には驚かされました。
多少の胡散臭さは残りながらも、まずは種の発芽のタイミングで使ってみることにしました。水にBSボールを入れ、種を入れて浸種、その後、温湯に入れ通常は発芽までに二晩かかります。明日の朝は芽が出るという夕方、様子を見てみると、芽が出てきていて翌朝までもちそうにないんです!それもネット上の袋の上っ面だけではなく、内部の種も全部、きれいに揃って出ていたので、慌てて引き上げました。
つまり、予定より半日も早かったことになります。吸水が早かったのか、これは何かあるなと感じながらも、まあ偶然かもしれないと、その時はまだ自分に言い聞かせているところがありました。
その後は従来通りに稲を育て、一年が終わってから収穫したお米を波動測定してもらいました。うちで穫れた化学肥料栽培のものと無農薬栽培のものを比較すると、やはり化学肥料の方が波動値は低かったですが、比較サンプル用にと農協で買ってきたよその農家さんの田んぼの無農薬のお米と比べて、うちのお米は化学肥料栽培のものですら波動値が高かったんです。
その結果を見た瞬間に、絶対に何かがあるぞ!という確信に変わりました。相変わらずそれが何なのかはわからないけれど、もはや疑いと迷いはなくなっていました。それ以降は、新商品を出るたび順番に、様々な用途に導入しています。
場がよくなったのでしょうね、ずいぶん土壌がよくなったように感じます。有機物が効率的に分解されるようになったせいか、肥料は従来の倍の効果があります。今まで通りの量を使ったら栄養過多で稲が倒れてしまいましたが、その最初の失敗のおかげで、投入する肥料の量が半分で済むということが分かりました。
山下:
symnテクノロジーで、自然界のエネルギーが高まったということですね!
では、お米にもしっかりと違いが出てきているでしょうね。
番場さん:
米を受け取りに来たある農協職員さんからは、「なんか感じる!」と言われたことがありますね。彼はそれだけ敏感なのでしょう。私は感じませんでしたが、味は明らかに違いますし、今までとはまったく違うお米に出来上がっています。
アポロシンシンはすべての車、トラクターやコンバインなど農機具につけて、ライスセンター(お米の乾燥調整施設)、お米の冷蔵庫でも活用しています。ムーンも、コンセントも、フィールダーも全部使っていますよ。
おかげさまで当初から目指してきた、みなさんの健康に貢献しうる、価値あるお米作りが実現しましたが、次の問題は、もっとも重要な後継者のことです。
山下:
ばんばさんのお米作りはすでに知名度も高まっているでしょうから、一緒にやりたいという若い人たちは多いのではないですか?
番場さん:
それがなかなか難しいんです。農業はしたいし美味しい米は作りたいけれど、経営にはタッチしたくない。作ることに専念したいので、後継者として経営の勉強はしたくないという人たちが多いんですよ。
そうかと思えば、生産に対しての勉強が足りないのに、売ることばっかり考えているという人たちもいます。バランスが悪いんですね。「一粒でも多く穫れ」と言われてきた時代に、いかにして消費者に届けるかを私は勉強してこれたことは本当に幸いだと思っています。
現状は、農学部を出て生産の基礎を勉強してきた若い子がまだまだ非常に少ないんです。指導されたことと、実際に生産してみて気づいたこと。つじつまが合わないことはたくさんあるはずです。それらに対して疑問を抱くから本当の答えが出せるんです。教えられたとおりやっているだけだと、真実に出会う機会などありませんからね。
アポロの技術も然りです。何かがこれまでの科学とは異なるので、それを証明しようと私なりにいろいろ取り組んでいます。まだ具体的には説明ができないのですが、明らかに違うんですよね。健康に役立つのが間違いないことは、自分自身や家族の体を使った実験でも証明できていますから(笑)。
人間、頭が良すぎるといけませんね。とにかく言葉は悪いですが、何でも騙されたと思って信じてやってみないと、どんな結果も出せません。
山下:
確かにおっしゃる通りだと思います。行動してはじめて変化が起こせるのですからね。では、番場さんの今後の展望はどのようなものでしょうか?
番場さん:
経営的には後継者問題ですね(苦笑)。もっと大きな視点では、この農法を理解してくれる仲間を増やしたいです。理解を得るのに時間がかかるようであれば、共同ポンプにシンシンをつけてしまって、地域全体にエネルギーの高い水を流してしまうとか(笑)。そうすれば、まだ理解してもらえていない人にも影響が広がっていく。アポロフィールダーをみんなの田んぼに入れるのは難しいですが、水を変えることなら簡単ですからね。
もちろん個人的には、このエネルギーを持ったお米の販売をさらに拡大していきたいと思っています。本来であれば、無農薬栽培のお米を食べるのがもちろん理想的ですが、経済的になかなか手の届かない消費者もいるでしょう。たとえ多少の化学肥料を使っていても、エネルギーの高いお米をお届けすることで、みなさんがより健康になってもらえたら嬉しいですし、これからもずっとそんな風に、消費者に寄り添う農業をやっていきたいと考えています。
アポロの新商品を持ち帰るたびに、子供からは、「また新しいものを買ってきて」とよく笑われるんですが、日本農業のために必要なんだと説明しています。何とかして、みんなが納得できるように数値でアポロの効果を表せるようになれば、一番嬉しいですけどね。まずはひとりでもふたりでも、仲間を増やしながらこれからも取り組んでいくつもりです。
最近もひとりこの近辺で、私と同じ農法をやってみたいと言ってくれる人が現れました。会社務めを辞めてイチから農業をするというので、それならぜひにと説明したところ、「面白い」と非常に興味を示してもらえました。
最初はみんなから、「何か怪しいことをやっとるわ」と言われてきましたが、それでも続けていれば、きっと仲間は確実に増えてくると信じています。
山下:
ホームページを拝見しましたが、番場さんが奥様と一緒に稲穂に囲まれて映っている写真の笑顔がとても印象的でした。
番場さん:
(突如真面目な顔つきになり)本当は、最後の収穫を迎えるまでは農家はど真剣なんですよね。私としては、ホームページでもその真剣さを伝えたい想いが強かったんですが、「ニコニコ笑顔で愛情こめて育てました」という農作物を消費者は買いたいものだ、というアドバイスを受けたので、現状は致し方なく真剣さは伝えていないサイトになっているんです。
でも実際はというと、決して毎日ニコニコ笑顔なわけではありません。事実、田植えをしてから稲刈りまでは、田んぼの様子が心配で熟睡などできません。夜中も雨や風の音で反射的に起きあがってしまいます。天気予報とにらめっこしては雨の中でも田んぼに向かいますし、田んぼのことよりも優先されることなど生活の中に何一つないんですよ。
だからこそ収穫を迎える喜びはひとしおですし、穫れたお米の一粒一粒が我が子のように愛おしいんです。
山下:
お話を聞いていると、農業が嫌いとはまったく感じられないですね。むしろ、とてもやりがいを持っていらっしゃるように思います。
番場さん:
嫌いなものを避けているばかりでは、人生は豊かなものにはなりません。嫌いなもの、苦手なものも、自分に与えられたとすればそれが天命。そうであれば、いかにして避けるかよりも、どのように取り組むことで喜びとやり甲斐を見いだせるのかを考えた方が利口です。
山下:
仕事に対するそのような心構えがあったからこそ、番場さんはこうして多くの人々の笑顔と健康に寄与する仕事に集中する機会を与えられたのでしょうね。
番場さんが我が子のように育てたお米達、必要とする方々の元に私達も大切にお届けさせていただきますね。今日は本当にありがとうございました。
番場さん:
ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします!