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ラムサール条約 基調文書
国際的に重要な湿地のリスト拡充の戦略的枠組み、2002年版
ラムサール条約(1971年にイランのラムサールにて採択)の国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン
その生態学的、経済的な重要性にもかかわらず、サンゴ礁は世界各地で深刻なまでに減少している。サンゴ礁は、堆積物、下水、農業排水その他の汚染源、採鉱、沿岸域の浚渫、沿岸開発など、サンゴ礁を劣化させる数々の人間の活動による脅威にさらされている。劣化のリスクと沿岸域の人口密度との間には、強い相関関係があることが判明している。人口増加による人為的な負荷の深刻さと沿岸域での住民の活動に加えて、サンゴの病気やサンゴ礁に生息する種に感染する伝染病による大量死も発生している。乱獲、爆発漁猟、毒を用いた漁、国内外で取り引きされる土産物用サンゴの採取が、サンゴ礁破壊の大きな原因である。二酸化炭素の増加は、石灰化やサンゴ礁形成の速度を低下させる可能性がある。
サンゴ礁に対して一層高まっている影響の一つに、地球規模の気候変動に伴う海面温度の上昇がある。海面温度の上昇はサンゴの白化現象を引き起こす。共生する藻類が失われる結果、往々にしてサンゴそのものが死滅し、引いてはサンゴに依存する多様な群集が消失する。海面温度上昇のほかに、すでに汚染や土砂堆積といった人為的圧力を受けているサンゴ礁は、白化現象を起こしやすくなっているようである。今後の海面温度の予測から、白化現象が次第に広がって頻度も高くなることが示されている。最近の研究によると、UV-Bの照射増大によってもサンゴの白化が起こり、温度上昇による影響に追い討ちをかけている可能性が示唆されている。
いったんサンゴが死んでしまうと、岩礁は嵐で物理的に破壊されやすくなり、沿岸の陸地やそこで暮らす人々を海面上昇や嵐から守る機能が脅かされる。1997年から98年にかけて世界各地で起きた大規模なサンゴの白化は、人間が引き起こした地球規模の変化から、生態系規模のダメージが起き始めたことをサンゴ礁が知らせているのかもしれない。再生が成功するかどうかは、健全な管理によって人為的な圧力を減らせるかどうか、そしてサンゴ礁の再生を無に帰すような白化現象が、今後深刻さと頻度を増して起こるかどうかにかかっている。
このような問題が相互に影響し合いながら生じている結果、近年、サンゴ礁は激減している。世界のサンゴ礁のおよそ11%が失われ、27%が差し迫った脅威にさらされており、31%は今後10年から30年のうちに減少する可能性が高い。最も危険が大きいのは、広義のインド洋、東南アジア及び東アジア、中東(主にペルシャ湾)及び大西洋地域のカリブ海のサンゴ礁である。
サンゴ礁は多数の種の漁業を支えている。現在、漁業管理手段の一つとして、保護区が設けられることが多い。しかし経済的に重要な種のなかにはその生活環の一部を保護区に指定された地域の外で過ごすものもあり、管理の際にはこれを考慮に入れる必要がある。それと同時に漁業管理措置は、持続可能な漁業だけでなく、生物多様性その他の貴重な湿地の特徴を守るものでもある。サンゴ礁に生息する魚類種の多くはラムサール条約湿地の指定を補完するために、この条約の規制よりも厳しい枠組みを必要としている。こうした魚種の保護には、補完的な保全の枠組みや権限が必要である。
サンゴ礁を管理する際には、保全の必要性とともに、特定のサンゴ礁に生活を依存する現地の人々のニーズも検討しなければならない。地域によっては、さまざまな利害関係者のニーズに合うように、多用途・ゾーニングの両アプローチを用いて管理することが最善の方法となる。ごく少数の地域を厳しく保護するという手法ではなく、沿岸域レベルでの保護のための入れ子型の枠組みが必要とされる。沿岸のサンゴ礁地域は、統合的沿岸域管理の計画により管理するのが最適である。
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