美味しさは品質、オキノ 沖野社長にインタビュー

美味しいものは美味しいままに。生産者としての責任をまっとうし、お客様に間違いのない商品をお届けする。

「オキノ」における品質管理 ~クライアント・システム

品質とはなんですか?

品質とはなんですか?

食品から衣料品に至るまで、身のまわりに存在するほとんどすべての商品において必ずといってもいいほど存在する概念が「品質」です。多くのメーカーや生産者は、「より高い品質」や「品質向上に対する取り組み」を商品のアピール・ポイントに挙げていますが、ではこの『品質』という言葉は一体どのように定義されているのでしょうか。

品質とは、新鮮さを意味している場合もあります。
品質とは、使い心地のよさを意味している場合もあります。
品質とは、納期の遵守を意味している場合もあります。

「品質」は、決して難しい言葉ではありません。しかし頻繁に使われる言葉であればその分、用途も広がり意味も曖昧になりがちです。そのせいもあってか、改めて「品質とは何か?」と問われると、ぼんやりとして明確な答えが返しにくいようです。

品質とはなんですか?

では「オキノ」において、「品質」はどう定義されているのでしょうか。
「品質」は広範囲に及びます。日本農林規格(JAS)や日本工業規格(JIS)、国際標準化機構(ISO)などの規格においても、個々の規格における「品質」が定義づけられ、その上ではじめて「品質管理の方法」が説明されますし、個々の規格によって「品質」の定義も少しずつ異なっています。

「『品質は経済であって、技術であって、環境であって、信頼であって、社会的な活動であって・・・ある商品が誕生するまでに関わる要素すべてが品質である』という定義です。この定義があってはじめて、品質管理をどうするかという次のステップに進めると考えています」と沖野社長。メーカーとして、「品質とは何なのか」を長く問い続けた末に、品質は生産から流通、販売に至るまでのすべての過程に関わる「ひと、もの、こと」によって、更には過去・現在・未来に至るまですべての時間軸によって創りあげられていくものなのだと考えるに至りました。オキノブランドを裏付けるこの考え方は、まさにヨーロッパの大手小売業がつくりあげたジーエーピー(GAP:Good Agricultural Practice)に示されている『品質と品質管理』の定義に相当します。フランスの高級食料品店『エディアール(Hediard)』の日本出店を機に、一層意識が高まったGAPではありますが、それ以前からオキノで独自に実践されてきた「品質管理」は、GAPに匹敵する質の高い内容でした。これがオキノ独自の品質管理システム、「クライアント・システム」です。

沖野社長ご自身の考えのもと、試行錯誤の中で実践し続けてきた品質管理手法を、4年以上の歳月をかけて体系化したこのシステムは、非常に広範囲かつ細密です。今のように体系化される以前のお話だと前置きがありましたが、導入部分だけを外部の方に説明するのに4日間かかったこともあるそうです。またオキノでの品質管理の濃さを知ると、「有機JASは手間がかかる、面倒だ」と断念しそうになる生産者やメーカーが「オキノさんの手法に比べると、有機JASは全くといっていいほど手間がかからない」のだと納得して帰られたといいます。

「たとえばトレーサビリティを確立するには、客観的に履歴を追跡できるよう複数の項目をクリアしていく必要があります。ものによっては、そのうちの1項目だけで何ページになるんでしょうね?」と苦笑いされながらも、「この基準に沿って項目をすべて達成しようとするのは、相当な労力です。他の公的な基準やコンサルタントにも、難しいかもしれません」と、「品質管理」の本質的な難しさ指摘されます。しかしオキノのすべての商品は、この品質管理基準にそって生産されています。

美味しいものは美味しいままに。

生産者としての責任をまっとうし、お客様に間違いのない商品をお届けする。

「オキノ」における品質管理は、ただその一点から始まっています。

美味しさは品質、オキノ 沖野社長にインタビュー

美味しさの追求、オーガニックのパイオニア

美味しさの追求、オーガニックのパイオニア

「オーガニック」と聞いて「オーガニックってなんですか?」とその意味を問うひとは、今や非常に少ないでしょう。しかし、沖野社長とオーガニック栽培のコーヒー豆との出会いは、まだ日本には「オーガニック」という言葉自体が珍しく、その意味を問われることが少なくない時代にまで遡ります。

世界的にみても、まだ「オーガニック(有機栽培)」が新しい挑戦だった時代。

当時は「オーガニック」を証明する方法も乏しかったこともあり、有機栽培農産物の信頼性は非常に薄かったといいます。

有機栽培されたコーヒー豆との出会いから数年。「株式会社オキノ」をとおしてオーガニックのコーヒー豆を扱うようになりましたが、それは決して「有機栽培された豆の取り扱いを意図的に増やしていこう」とか、「取り扱おう」と決心してのことではありませんでした。

「最大のテーマは、『このコーヒーが美味しい!』と声を寄せて頂けるものだけをつくりたいというそれだけなんですね」と沖野社長。本当に美味しいと思えるものを、「美味しいから」と自信をもってお勧めできるものだけをと味を追い求めていくなかで、偶然たどり着いた先が「オーガニック」という栽培方法でした。沖野社長は更にこう云われます。

「求めていたのがたまたまオーガニックのマーケットの人たちだったから、オーガニックの原料でご提供したに過ぎません。けれどもオーガニックとして販売するのであれば、内容も確かで信用のおける認証のついた、なおかつ本当に美味しいものをご提供したいと考えていました。」

美味しさと信頼。そして安心。

沖野社長は、これらすべては同時に成立するのだと、商品をとおしまた会社のあり方をとおして証明されています。また会社のあり方をとおして教えてくれます。

美味しさの追求、オーガニックのパイオニア

創業当時から変わらない信念はそれだけではありません。沖野社長は断言します。

「完全受注生産で、見込み生産は一切しません。」

コーヒーの本当の美味しさは、焙煎の新しさに大きく依存します。生豆を焙煎後、長くても1週間以内に、挽いた豆であればもう少し早くに飲みきってしまうのがベストです。現在は「よりフレッシュ」に「つくりたて」をお届けするための技術も沢山開発されていますが、やはり本来の味を100%保ち続けられるかというと疑問が残ります。お届け先の決まっていない見込み生産は、どれほど技術を駆使したとしても、一番美味しく味わえる時期を逃してしまう可能性を秘めています。

「今でも見込み生産しない会社は、私のところ以外ないんじゃないでしょうか。そんなことをしている会社があるのか!?と今でも驚かれますが、驚かれる理由も想像がつきます。」

多くの同業者が工場見学に訪れていた時期には、皆、異口同音に「よくやるね」と云われたとか。経済的なデメリット以上に、「完全受注生産」は手間や労力が要求されすぎるのでしょう。工場見学を希望される方には、「やり方を全部教えます。どうぞ皆さん同じようにやってください」と許可していましたが、手法を真似した業者はほとんどなかったのだそうです。

「オーガニック」原材料のみの取り扱いも、完全受注生産も、ただ美味しいものを届けたいという沖野社長の信念を、実直に形にしただけです。けれどもこの「思いを形にし続ける」行動が、いかに労力と忍耐、努力を要するのかは、「理想」と「現実」の狭間で生きる私たちが日々の暮らしから知っている事実でしょう。

一杯のコーヒーは、「農園」を変える

一杯のコーヒーは、「農園」を変える

高い品質の商品に対するマーケットのニーズが高まるにつれ、企業からの問い合わせも増えています。しかし、沖野社長の質問はいつも同じです。

「継続できますか?」

新しいお話にはいつもとても慎重に対応される沖野社長は、時には大きな利益が見込めるお話も丁寧にお断りされます。買い付ける量が増えるとその分、農園では生産量が増えます。けれどもコーヒー豆は農産物で、その収入で生活する人たちが存在します。今年急に10倍に増やし、翌年は5分の1に減らす、という買い手本位のやり方では、農園自体の存続もそこで働く人たちの生活も不安定になります。

確実に、継続できること。

一杯のコーヒーが、農園の生活を大きく変えることもあります。有機栽培のコーヒーを求める消費者が増えればその分、農園も農薬や化学肥料を使わない「オーガニック」を主体とした栽培量を増やします。美味しい有機栽培コーヒーを長年愛用する消費者の母数が増えればその分、農園の環境も変わります。一時的なブームに流されず、長く継続できる取引先と農園をつなぐこともまたオキノの役目のひとつであり、農園での人々の生活から、焙煎されたコーヒーを購入する消費者まで、全てにわたる経済活動もまた、沖野社長の提唱する「品質」の一部です。

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