バリで開催中の国際会議中継 vol.1
みなさんこんにちは、ティルです。
いまバリにいます。
実は12月3日から、ここバリ島にて、大きな国際会議が開催されています。
10年前に京都議定書が採択された、「気候変動枠組条約締約国会議」と、
その議定書を遂行するための、「京都議定書締約国会合」というものです。
それぞれ、第13回、第3回をバリ島で迎えているわけですが
数ヶ月前にこれらの会議がバリ島で開催されるという情報を耳にして以来、
私たちの未来を決めるこの会議場になんとしても足を入れたい!
と策を練ってきました。
そして、会議開催直前にようやく、
プレマと同じ京都に本拠地を置くNGOグループ、
気候ネットワークさんのボランティアスタッフとして
会議場への参加権を得ることができました。
会議は12月14日まで開催されます。
残念ながら距離的な問題もあって毎日現地レポートを
お送りすることは叶いませんが、
できるかぎり足を運んで、みなさまに最新の情報をお知らせ
したいと思っています。
まず第一弾は、
気候ネットワークのスタッフの方が報告してくださる
温暖化問題の国際交渉の状況を伝える会場からの通信「Kiko」から。
初日にしていきなり会場に冷ややかな空気を送ってしまっている
日本の発言とその顛末なども含めて現地レポをお届けします。
それでは、臨場感いっぱいの現地報告スタート!
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■COP13/CMP3開幕
12月3日から、気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)と京都議定書第3回
締約国会合(CMP3)が始まった。この会議では、2013年から始まる次期枠組みの
2009年末合意に向け、本格的な交渉が始まることが期待されている。
政府関係者、NGO、メディアを含め過去最高となる参加者が集まるバリ会議初
日の大きなニュースは、先の選挙で新政権が誕生したオーストラリアが、早速に
も京都議定書を批准したことを発表したことだ。会場は大きな拍手に包まれ、会
議の空気を大きく盛り上げた。これで京都議定書不支持を表明する先進国は、ア
メリカのみとなった。
一方、初日のCOPの、次期枠組みに関する議論のプロセスの1つである条約の下
での「長期的協力の行動に関する対話」の報告で、日本の発言が波紋を呼んでい
る。京都を葬るような発言!?(詳しくは下記のecoを参照)日本の真意は何なの
か?私たちはここバリでそれを探りつつ、日本がバリ・ロードマップの結実へ積
極的に貢献するよう見守るつもりだ。
■日本は京都議定書を捨ててしまうのか?(eco 12/4号抄訳)
「世界全体の排出削減に向けて、京都議定書から全ての国が効果的に参加し対策
を行う新しい枠組へと移行していくことが不可欠である。」という、昨日の気候
変動枠組条約第13回締約国会議(COP)での日本政府の発言は、一体どういう意
味なのか?
京都議定書を産み出した日本は、その議定書採択10周年にあたる今、京都議定書
を捨ててしまおうというのだろうか?先進国の更なる排出削減や途上国へエネル
ギー効率の良いクリーンな技術の拡大を京都議定書の上に積み上げていくことが
必要であることは確かであるというのに、日本は、全てのプロセスを一番最初か
らやりはじめようというのか?
また、ECOは、ボトムアップベースのセクター別アプローチ、市場ベースのアプ
ローチ、そして、官民のパートナーシップなどと記されている日本の緩和策のリ
ストに足りないものがあることも問題と考えている。京都議定書の心臓ともいえ
る法的拘束力のある排出削減目標はどこへいってしまったのか?
日本は、気候変動問題を解決するために必要な法的拘束力のある絶対量による排
出削減目標ではなくて、昔からお気に入りの、各国がそれぞれの目標を自主的に
掲げられる「プレッジ アンド レビュー」提案に戻ろうとしているのか?
ECOは、日本に対し、今すぐ、日本のポジションの明確な説明と、世界に向かっ
て日本が京都議定書を見捨てようとしていないことを示すことを要請する。事
実、日本は、2020年の先進国の排出削減目標における自国の数値目標を具体的に
提案する時期にきているのだ。
■日本、「本日の化石賞」1位から3位までを独占
「本日の化石賞」は、2000年のCOP5以来、気候変動問題に取り組む世界的な
NGOのネットワークである気候行動ネットワーク(CAN)が、その日の交渉
を妨害、後退させるような発言をした国に与える賞である。12月4日の「本日の
化石賞」は、1位から3位までを日本が独占して受賞する形となった。日本が独占
して受賞するのはこれが初めてで、アメリカ、サウジアラビアに次ぐ「快挙」を
成し遂げた。
1位は、上記のCOPの全体会合での発言で、先進国の絶対量の排出削減目標に
ついて全く触れず、削減義務のある京都議定書と全く違う提案をしているように
とれるから。2位は、1位の理由により、誕生地である日本が、今年10周年を迎え
る京都議定書に「お別れ」というプレゼントを送ったと言わざるをえないから。
3位は、アメリカ、カナダ、日本と同時受賞。SBSTAの下で議論されていた「技術
移転」という議題を、先進国の義務の見直しと絡めて実施に必要な資金などに関
する検討を行うSBIでも正式な議題とし検討していくべきという途上国の提案を
採択する際、アメリカ、カナダ、日本は、SBIで「技術移転」について検討する
ことについて反対し、SBSTAのもとだけで議論することを主張したから。
■バリ会議の基本事項 (eco 12/3号抄訳)
2007年は気候変動問題に関してとてつもない年だった。メディアの報道も世論の
関心もこれほどまで高くなったことはない。多くの政治家や企業もようやく、十
分な深刻さを持つべき問題として捉え始めた。IPCC報告書は、このままでいった
ら世界が直面する様々な影響を明らかにした。また、危険な気候変動を回避する
ために必要となる技術や手段を持ち合わせていることも明らかにした。行動に対
する科学的知見は明らかだ。市民は、バリにいる世界の代表たちがこれに答える
ことを期待している。
バリからのシグナルは明確でなければならない。COPの最終日には、世界の気候
コミュニティーは各国の市民に向かって、2013年以降の次期枠組みについて包括
的な交渉が開始されたことを明確に説明できなければならない。それは、2℃未満
に気温上昇を抑える目標と一貫性を持つ、世界全体で実質的に大きな排出削減に
なるものとして、2009年末までに合意する必要がある。先進国はそのリーダー
シップを示さなければならない。
途上国は、先進国からのインセンティブを受けて、より大きな貢献をする必要が
あるだろう。これには、途上国における優良事例や、持続可能で低炭素型の技術
利用を拡大させる新しいメカニズムや、適応への資金や技術支援の大幅な拡大を
図るメカニズムなどが必要となるだろう。
気候行動ネットワーク(CAN)の、これから2週間の交渉に向けた要求について
はっきりさせておこう。
バリ・マンデートにおける京都議定書トラックでは、特別作業部会(AWG)の拡
大作業計画に、2013年以降の先進国(附属書I国)の約束に関する下記の重要事
項の議論を含まなければならない。
・2℃未満目標と一貫性を持った先進国の大幅な排出削減
・過去の排出責任と行動能力を基礎とした公正で透明な目標配分指標
・真の排出削減と途上国の持続可能な発展の両方を確実なものとするための現行
の柔軟性メカニズムの分析
・途上国が持続可能な低炭素型の発展の道筋を歩めるような資金と技術移転の規
模と方法の探求
・急成長する船舶と航空からの排出を対象に含めるための附属書Aの拡大
・第1約束期間の森林の土地利用変化に関する手続きと方法論の見直し
・京都議定書改正の発効要件の見直し
また、「長期対話」は、条約の下での交渉へと引き継がれ、先進国が途上国の発
展を脱炭素化させるインセンティブをいかに与えられるかを探求していくことが
必要である。ブラジル政府が5月にボンで開催された「長期対話」の第3回会合で
「交渉なき議論は発展しない」と言い切ったように、長期対話における進展を形
式化させることの必要性は大きい。CANは、条約の下での交渉では下記について
取り扱う必要があると考えている。
・科学レビューと気温を2℃未満に抑えることが可能な全体目標のレベルの定義
・世界の取組みの一部として途上国の貢献について交渉を始めること
・各国の公正な配分を定義付ける公正で衡平なプロセス
・適応に対する支援の急速な拡大、最も脆弱な途上国の復興や現在及び将来の気
候変動影響に対する適応への確実な支援
・技術:持続可能な技術の研究、普及、移転を拡大させること
・途上国の熱帯林減少や劣化からの排出を、先住民の人権や途上国の森林統治権
を尊重しつつ、迅速に削減するインセンティブを保証するメカニズム
・対応措置による意図しない結果への対処
・実効的な遵守メカニズム
・方法論の見直し
CANは、バリ・マンデートにおいて上記に掲げた主要議題に取り組むために作業
グループを創設することを提案する。全ての作業グループは、会議の合間に会合
を開催し、作業グループの議長は、条約・議定書両方の下で、それぞれの作業部
会の検討事項や作業計画の決定について裁量権を与えられ、2008年のCOPで進展
状況を報告するべきである。
そして、全体委員会(Committee of the Whole)が、2008年に始まる全体の交渉
の基礎としてこれらの報告を活用し、第1約束期間が終わる2012年12月31日の前
に2013年以降の枠組みが発効できる十分な時間的余裕を持てるよう、2009年に交
渉を完了させなければならない。
もし、IPCCの指摘通りに世界の排出量を2015年にピークを迎えようとするなら、
バリでの合意と今後2年間の交渉は、決定的に重要である。それは、IPCCに記さ
れる気候変動の影響によって我々自身が苦しむことになるのか、あるいは、持続
可能な未来を迎えることができるのか、を決定付けるものとなる。
交渉担当者の皆さん、世界があなた方の決定を見守っています。
◆サイドイベントのご案内◆「ツバル一万人からのメッセージ」
気候ネットワークは、ツバル・オーバービューが今年から始めた「ツバルに生き
る一万人の人類」プロジェクトの紹介を中心に、最も地球温暖化の影響を受ける
ツバルの現状を踏まえ、世界はバリでどのような決定をすべきか考えるサイドイ
ベントを開催します。多数のご参加をお待ちしています。
○日時 12月8日(土)18:00〜19:30
○場所 Grand Hyatt Hotel Room Solor
○スピーカー(予定):Pepetua E Latasi氏(ツバル政府)、遠藤秀一氏(ツバ
ル・オーバービュー)、平田仁子(気候ネットワーク) 司会:川阪京子(気候
ネットワーク)
○主催:気候ネットワーク、協力:ツバル・オーバービュー、ツバル政府
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Kiko COP13/CMP3通信 No.1
2007年12月5日発行
発行/編集 気候ネットワーク
川阪京子、平田仁子
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と、さすが国際会議、なかなか初日から難しい内容ですね。。
でも!到底ついていけない・・・と嘆かないでくださいね。
私も同じ、アップアップ状態からのスタートですから。
今年は、ノーベル平和賞にアル・ゴア氏と
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が選ばれたことでも、
環境問題に対する人々の関心度が
ぐっと高まった年ではないでしょうか。
それはそれですばらしいことなのですが、
関心が高まることと、実際に対策をとることの間に
大きな溝がある状態では、真に有効な取り組み
につながるとはいえません。
だからこそ、難しいテーマの会議であっても
私たちがどのようにとらえ、関わるべきなのかに
焦点をあてたいと思っています。
というわけでまず初日は、「京都議定書」を
一般市民のティルちゃん語でわかりやすくご説明。
環境問題一年生の私と一緒に、
世界の施策に地球住民として関わっていきましょう!
* * * * * * *
「京都議定書」とは、
CO2の排出削減を法的な義務とした議定書で
1997年に京都で開かれた第3回締約国会議(COP3)にて採択され、
その6年後に発効されました。
採択後、発効までに長い期間を要した理由は、
ご存じのようにアメリカが離脱するなどの障害もあって、
条約が定めている、締結国数についての発効要件を
満たすことが出来ずにいたからです。
それでも粘り強い交渉の末2004年にロシアが調印、
翌年2005年に晴れて国際法として効力を持つところまで
たどり着きました。
でも、そこからの問題が山積み!
例えば、開発途上国は対象外になってます。
「ガスを出さずに発展なんてできない!」
「先進国だけさっさと発展してガス出しまくって!」
というのが、彼らの言い分だったからです。
一報、先進国にとってはものすごく厳しい内容です。
1992年のリオの地球サミットでは
「先進国は、とにかくがんばるように」
と決められたにすぎなかったのが(これでいいわけはないのですが)、
「京都議定書」では、各国に対し、
具体的な数値を持ってCO2の削減が義務づけられました。
それは、2008年〜2012年までに、1990年比で各国それぞれ
決定されたパーセンテージの削減をしなさい、というものです。
例えば当初、2.5%削減が限界といっていた日本も、
会議が終われば、6%削減に決定。
具体的な施策がないままに、でも地球を救うためには
もうNo!とは言えない段階にきていたわけです。
その削減にあたって、今年までが準備期間。
来年からは、本格的に効果的な削減を実施して
4年以内に、目標を達成していないといけません。
今年のバリでのCOP13会議は、その点でも節目であり
また、2012年以降の取り決めにつなげる重要な会議になるとも
聞いています。
まず、現在対象外になっている開発途上国を
今後どう位置づけるか。
最新の情報によると、南アフリカ共和国やブラジルなど
自発的に参加意志を表明しつつある国もあれば
これまで通りかたくなに「対象外!」を主張する国もあり、
開発途上国の中でも分裂が起こっているとのこと。
今回の会議で大きなテーマになるのは
間違いなさそうです。
そして、アメリカはどういう態度に出るのか。
日本は世界に何を指し示すのか・・・。
おっといけません。つい政治的なものとして
とらえがちになりますが、
明日からは、他の参加者の方々とも交わりながら
地球人としてのあり方を考えていきたいと思います。
* * * * * * *
そうそう、リオの環境サミットで
「伝説のスピーチ」をした当時12歳の少女、
セヴァン・スズキをご存じでしょうか。
彼女が11月に来日していたときに
少しだけお話を聞くことができました。

まもなく28歳を迎えるというセヴァンいわく、
「私たちは今、人類史上最もエキサイティングな
時代を生きている」
今ほどに、私たち一人一人の決断と行動が
深い意味を持つ時代は過去になかった。
どんな社会を、どんな世界を作るのかを
私たち自身が選択することができるのだから
私たち全員が、「宇宙から与えられたチャレンジ」に
応え得る革命家なんだ!
って、すごいエネルギー炸裂でした。
セヴァンが語ってくれたことは
どれも核心をついていて
いちいち感動せずにいられなかったのですが
もっとも私に勇気を与えてくれたのが、
「Real changes are coming from us.」
偉い政治的リーダーさえも、
結局は市民が生み出すムーブメントに便乗してくる。
つまり、地球を変えるのは
間違いなく私たちひとりひとりだということ。
この地球に住む一人一人が
自分たちを取り巻く環境にしっかりと目を向けて、
小手先のことじゃない、本当の解決策を
考えていかないとだめだと思っています。
セヴァンの伝説のスピーチ