禅チェアのふるさと訪問記

禅チェアの神髄は、禅の師匠に聞くべし

 禅チェアのふるさと訪問記

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禅チェアの神髄は、禅の師匠に聞くべし!

禅チェアの生まれ故郷は、「エデンの海」のすぐ近くにありました

禅チェアの生まれ故郷

高台から見下ろす風光明媚な瀬戸内の景色。太平洋や日本海とはまた違う情緒あふれる風景です

残暑の日差しがまぶしい9月某日、私たちは「禅チェア」誕生の地である、広島県竹原市の忠海(ただのうみ)という小さな町を訪れました。忠海町は、瀬戸内の温暖な気候に恵まれ、映画「エデンの海」などのロケ地として知られています。忠海の駅前もどことなくレトロで、どうやら昔と今が仲良く同居する、とても住みよい町のようです。

一本の電話からご縁をいただいた、建築家・嵩和夫氏の事務所は、駅を出てすぐのところにありました。 事務所っぽくないおしゃれな建物だなあと思っていたのですが、扉を開けると、なんと!いきなり開放的なキッチン!!なんでも、お料理でお客様をもてなすのが大好きという嵩社長。この日も私たちのために、とってもおいしい昼食をご用意くださる予定だとか。打ち合わせそっちのけで、ランチが気になってしまいそう・・・。

カウンターキッチン

こんな素敵なカウンターキッチンがあれば、お食事の準備もすっごく楽しめそう

それにしても、さすが建築家さん、細部にも様々なこだわりが見えます。たとえば、このカウンターとイス。おやっ?と思うほど低いのですが、ゆったりとくつろぎながら楽しくお食事をするのには、最適な高さというものがあるらしいのです。 私は、背が低い=脚が短いので、レストランなどでイスに座ると、つま先が地面につけばいいほう。大抵は、まるでお行儀の悪い子どものように脚がぶらんぶらんして、実に不格好なのです。いくら美味しいものを、気の合う人たちと一緒にいただいても、十分にリラックスできていない分、少し損しちゃってたんですね・・・。

これは子どもたちにもいえること。「ちゃんとお行儀よく食べなさいっ!」って叫ぶ前に、美味しく食べられる環境を用意してあげていたかどうか、確認し直す必要がありそうです。

嵩社長ご自身の作品

明るい太陽光が差し込むこの事務所まるごと、嵩社長ご自身の作品

この素敵なランチスペースでお茶をいただきながら、本日の予定をざっと確認。その後、「では上にあがって、詳細詰めていきましょうか」と嵩社長にうながされ、「そうそう、まずは仕事、仕事!」と仕切り直しです。
二階の事務所スペースも、天然木がふんだんに使われていて、これまた素敵。窓も大きくて、光がいっぱい。自然が呼吸している感覚が、お部屋の空気いっぱいに広がっています。

禅チェアの生みの親、井上老師とご対面

井上老師と嵩社長

明俗世的な話は道場には一切持ち込ないということで、もっぱらこの場所で製品を練り上げられたお二人

弊社で販売を開始するにあたっては、より機能性の高い椅子に仕上げるため、細部のさまざまな調整をお願いしていました。その詳細を詰め終えた頃、嵩社長の禅の師匠であり、この「禅チェア」のコンセプターである井上老師が事務所に到着されました。
井上老師自ら、禅を通じて嵩社長に伝えられた「椅子の理念」が、建築家である嵩社長の技術と経験によって形作られていったのです。

禅というと、「喝ッーーー!」というイメージしかなく、あまり感情が表に出ない、寡黙な方に違いないと勝手に想像していました。ましてや、事前に嵩社長からは、厳しい方だとうかがっていたので、さてさて、いったいどんな取材になるものやらと思っていたのです。ところが、実際にいらっしゃった井上老師は・・・、最初っからニコニコ笑顔!ひとまず、ホッ!
なんといっても、多くの方々を禅の道に導いていらっしゃる先生です。お話も終始、理路整然と分かりやすく、「なるほどー!」「ほぉー!」と唸るばかり。どうやら、私なんかがあれこれと質問するまでもなさそうです。

井上老師と嵩社長と中川

効率よく一点集中できる体勢に導く目的で作られた集中型の椅子が「禅チェア」

「座禅の目的は悟ること。悟るためには邪念をとり、煩悩をとる。そのためには、身と心とが統一体になる必要があります」と井上老師はおっしゃいます。座禅をするときに使われる丸い座部が速やかな精神統一に役立つらしく、座ったとたんに背筋が伸びて、一点に心が置ける状況を作るのだそうです。座ったときに、自然に背筋がしっかりと伸びることで、無駄な感情作用や知的作用が自動的におさまり、煩悩を超えていくことができるのだそうです。

そして、「禅用の丸い座部の椅子バージョンを作りたい」という発想から、嵩社長とともに試行錯誤を繰り返した末に完成したのが、「禅チェア」。骨盤が動きやい座部の形状は、精神を一点に集中する他にも、健康維持効果や、悪い姿勢が定着しないというメリットがあります。

「いい椅子ができたと言うと、座っても気持ちよくないと言い返されるんですよ」と、苦笑いの井上老師。 これは、精神を浄化するための椅子であって、リラックスするための椅子ではありません。安楽椅子に座りながら、いい仕事をしようというのは、極めて相反することなのです。どうやら私たちは、腰の力が抜けた状態で仕事をしようとするからカラダを壊す、ということにも気づく必要がありそうです。

必殺!これが建築家ならではの型作り!
座部の型は材木 材木を並べる 座部型のできあがり
なんと嵩社長は材木を使って型を作ったそう! こうして順番に並べていくと・・・ ほら!立派な座部型のできあがり♪
井上老師

ここが高くなっているから骨盤が動きます

クッションの硬さもずいぶん検討をしました。硬すぎるとあまりにも座り心地が悪いし、柔らかすぎるとお尻が沈んでせっかくの機能性が発揮できなくなります。なんといっても、この座部の特長は、中心部が高いということなのですから。
中心部が高いなんて、なんだかグラグラしてすごく不安定じゃないの?そんなので集中できるの?と半信半疑だった私ですが、試作品を使ってみると、これが実に快適。足を軽く動かすなど、ほんのわずかな体の動きだけで、骨盤~背骨が連動して動き、長時間の座り仕事であっても疲れずにすむという、井上老師の「禅チェアの理論」には大いに納得です。

そうして、潜在的な不快感から解放されることで、作業効率があがるだけでなく、精神を磨き、人間性も向上する。ただの猫背矯正イスだと思っていたら、どうやらとんでもない間違いのようですね。

たかが椅子、されど椅子

いつか必ず、子どもたちにも届けたい!

大人はもちろん、成長期の子どもたちにとっても、学習机や学習椅子の正しい選択は重要なことなのだと、今回の取材を通じて感じました。「子どもたちの美しい魂を培うのは、親の愛情でありその子を取り巻く環境ですが、何事であれ当人にとって適正か否かが重要です。」と井上老師もおっしゃいます。
幼い頃から、悪い姿勢を身に付いてしまうと、わけもなく気むずかしく、決断力等の乏しい散漫な癖が性格化してしまうとのお話も。それらは本来のその子の性格ではなく、悪い姿勢や癖による性格の歪み現象なのだそうです!

私たちの未来、子どもたちの未来のために、「たかが椅子、されど椅子」のメッセージをひとりでも多くの方々にご理解いただきたい!と、母親業もいとなむ私は、固く心に誓ったのでした。