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ボクにはブラックジンガーがあるもん! (東京都)金島栄穂君
平成七年八月、次男を出産した金島真由美さんは分娩台の上でとまどっていました。「部屋の雰囲気がなんとなくへんなんです。赤ちゃんは無事に生まれたはずなのに・・・。ただ赤ちゃんが私の体から出た瞬間、そこにいた人達がウッって息を飲んだんです」
真由美さんの赤ちゃんはダウン症でした。
赤ちゃんは栄穂(ヨンス)君という名前をつけてもらったのですが、二歳をとうに過ぎても、歩くことも、話すこともできません。笑うこともほとんどなく、話しかけても反応がないので真由美さんも次第にはなしかけることをしなくなりました。「だっこして買い物につれていっても、荷物をだいているようでした」と真由美さんは、ヨンス君の無表情ぶりを表現します。
今年に入り、それまでも時々利用していた自然食品店「足立ナチュラル」の近くに引っ越しました。この引越しがヨンス君にとって大きな転機となったのです。足立ナチュラルの店主・船橋正隆さんは、
「声をかけるのも気がひける様子だったんですが、このままじゃしょうがないと思ったので、玄米の黒焼き粉末を教えたんです」
こうしてヨンス君は今年の六月中旬から、200ccの牛乳や豆乳、酵母を入れた水などに玄米の黒焼き粉末を一袋ずつ入れて、朝・昼・夜の三回食べはじめました。変化はすぐにでました。「ヨンス君は全身の筋肉が弱いので便も月に五回しか出なかったんです。一週間に一回の排便のときも、妊婦さんがお産をするときのように苦しんで、それでも出ない時があり、綿棒にオイルをつけて肛門に塗ったり、たまには浣腸をしたりしてもう大変なんです。
それほどひどい便秘が、玄米の黒焼き粉末を食べだしてまもなく、三日おきに便が出るようになり、すぐに二日おきになりました。それも自分でちょっと力むだけで出るようになったんです」と真由美さんは語りながら、次第に目が輝いてきました。もともと美しい人ですが、黒い瞳に輝きが増すと一段と魅力的になります。ヨンス君もやがては友達に、母親を自慢するようになるでしょう。
歩いた! 笑った
便通がよくなると同時にヨンス君の運動機能も目覚めました。「三週間くらい過ぎたとき、一人でつかまり立ちしたんです。かつてない行動でした。そして、リハビリ施設の運動療法士の方は、つかまり立ちができたとしても歩くまでには時間がかかりますよって言ってたんですが、二十日くらいしたら二、三歩歩いたんです。
自力で歩けたあとは、歩くことが急におもしろくなったみたいで、歩いてはころび、歩いてはころびを、繰り返しやるんです。運動療法士の先生からも『今日はいい報告書が書けて有り難う』ってお礼いわれるようになりました。 それからの機能回復は日増しに目に見えて伸びています。「先日も、訓練場は三回にあっていつもは部屋まで私がだっこしていくんですが、その日はたまたま知り合いの婦人と入口の先でバッタリ出会い、立ち話になりました。
ちょっと長話しになり、それではと言いながらヨンス君をだっこしようと思ったら、さっきまで足元で遊んでいたヨンス君が見あたらないんです。突然部屋の中から大人の声がしたかと思ったら、ヨンス君が一人でドアを開けて出てきました。それを見てまた部屋の中から驚きの声が上がっています。重いドアを一人で開け閉めしているのです。
正直言って、ヨンス君の運動機能がここまで回復していたことに私も驚きました。運動機能だけでなく、知能の方にも進歩が現れはじめました。三月の時点ではまったくできなかった積み木遊びができるようになったり、おもちゃの車を走らせることもできるようになりました。
体型も、いままではグニャグニャだったのに背筋も通って、体が引き締まってきました」真由美さんのヨンス君自慢はとめどなく出てきます。本誌の取材中にも部屋から部屋へ、廊下の障子を閉めたり開けたりと、よく動いていました。そして、大人たちがからかったりすると、キャッ、キャッと言って笑いころげ逆に大人達を挑発したりするのです。
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