生命あふれる田んぼのお米

農薬不使用・無化学肥料米。雑草と競い合って生き抜いた、とにかく元気なお米です!

現地直撃レポート!!その1

小野寺さんと、今回の視察メンバー

小野寺さんは、農薬不使用、無化学肥料にこだわっているのではありません。
こだわっているのは、『いかに生命力あふれる価値のある米』を作るか。

ただ安全・安心だから食べる、というだけではなくなって、それを食べ自分たちも豊かになる、
そういう生き方をライフスタイルをも含めて消費者の方々が求めてきています・・・

小野寺さんのお米づくりへのこだわり

日本は農薬天国?


見よ、元農大生のへっぴり腰

日本は世界でもワースト3に入る農薬使用国です。日本のわずかな耕地にベトナム戦争に枯れ葉剤として使われたのとほぼ同量のダイオキシンが農薬として使われています。そしてそれは今でも続いているのです。また、日本人は平均して年間5~6kgの化学物質を農薬、または食品添加物として口にしていると聞きます。史上最大規模の人体実験と称した学者もいます。障害を持って生まれる子供の増加や、新生児の30%以上がアレルギーを持つとも言われています。

楽しみながら仲間づくり

今回の取材中も、そこここで、農薬散布中の農夫を見ました。私も農業大学を出ておりますので、農薬の恐さは体験的に知っております。学生時代(約30年前)、実習に行った先で、隣の農家の方がキュウリの農薬散布中にその場で亡くなりました。ショッキングな体験です。
ですから、無化学肥料、有機栽培の米の方が良いに違いありません。ですが、小野寺さんが目指しているのは、豊かな環境そのものを子孫に残し伝えることです。誰にもわかりやすいように、説明はたとえを使って、丁寧にしてくださいます。そして、その言葉には、とてもおおきな使命感があふれています。なによりも、農業を楽しみながら仲間につたえていらっしゃいます。

有機質肥料を土中深くに入れてはいけない


田んぼが元気だと、稲も元気に育ちます

自然界の中で有機質は土中深くにはありません。土壌の表層に堆積するだけです。農薬不使用無化学肥料の考え方が浸透し、有機栽培が良いからと、土の中25cmから30cmの深さに有機質肥料をふんだんに入れる方法があります。

確かに収量は増えます。
しかし、土の中深くに有機質を投入すると、嫌気性のガス、アンモニアなどが発生します。水田はその上に水を張るわけですから、逆に酸素が少ない状態になってしまいます。アオミドロが増えます。余談ですが、この状況に一番影響を受けるのがドジョウだそうです。ですから、ドジョウしか食べないトキにとっては、ますます、生活圏が減少してしまうことになります。

化学肥料そのものでなく、その製造過程が良くない

また、窒素、リン酸、カリなどの化学肥料の施肥が悪いのではなく、それらを塩酸や硫酸、硝酸などでコーティングすることで、酸が土壌を害することが問題になるのです。

ほんの僅かしか耕起しない農法


いろいろな例をあげながらわかりやすく
語ってくださる小野寺さん

小野寺さんは、試行錯誤の末、田んぼは表面のほんの僅かしか耕しません。イナワラ、モミ、刈草、すべて田にもどします。すると稲が雑草と闘いながら、必死に根をはわせるため、結果として病害虫に強い稲が育ちます。しかし、この農法には専用の農機が必要になります。田植えのとき、根で張りつめられた田を切り裂く必要があるためです。
なんとか皆でやれる方法は無いのか。小野寺さん達は、現在農家にある耕耘機をそのまま使用して可能な限度を模索してきました。そして、その境目は7cmと分かりました。小野寺さんは現在、農家に、「耕してもいいが、5cmまでにしなさい」と指導しています。

スパルタ式“米づくり”

小野寺さんは、米作りを子育にたとえます。
「赤ちゃんが生まれると、お母さんはおっぱいをあげ、おしめを替えるなど、つきっきりで世話をします。三歳くらいまででしょうか。ところが、その子が18歳から20歳くらいまで、何一つ苦労を知らずにぬくぬく育ったらどうでしょう。結婚し自分が子供を育てる段になって、自力で生きていく力がありません。米も同じです。これから根を深く伸ばして、さらに栄養を取り入れなければならないと言う段になって、ピタッと成長が止まってしまうのです。」

土壌環境を破壊する“有機質多量土中投入”


熱心にメモを取る視察メンバー

有機質を多量に土中に投入する方法が、従来の化学的農業の連続として、有機農業に受け継がれているのが現状のようです。化学肥料に変えて、有機質を従来のように、土中深くに投入する方法です。栄養が豊かで収量は増えます。ぬくぬく育つからです。しかし、田に水を張ることによって、次第に土中に嫌気性の生物が増え、これが命あふれる土壌環境を破壊してしまうことになります。

お金がなくても、心が豊かになる“ふっくら”な生活

小野寺さんは一反あたりの収量は8俵、あるいは7.5俵でもいいと考えています。
「ふっくらした生活をしようと、誰でも思います。ただ安全・安心だから食べる、というだけではなくなって、それを食べ、自分たちも豊かになる、そういう生き方、ライフスタイルをも含めて、消費者の方々が求めてきています。」
「ただJASマークが付いているかどうかという時代ではなくなってきている。何がふっくらな生活に結びつくか。お金がなくても、心が豊かになる。そこを目指していけば、大崎市田尻も生きていけると思っております。」と小野寺さんは言います。

目指すは三世代共存できる米作り


いっぱいつかまえられたかなー?

雁音農産開発有限会社(小野寺さんの会社)では、赤ん坊は作業場に連れてきて、どの子も自分の子供のように、共同で面倒を見ます。三世代共存。おじいちゃん、おばあちゃん。お父さん、お母さん、そして子供達、それぞれが自分にあった仕事をこなします。

「昔は3町歩(3ha)で3世代を養えました。今は10町歩でも米だけでは養えなくなりました。米価があわなくなったのです。これは市場農業の結果です。国や農協の指導に従って増産していきました。ところが気が付くと、当時いた生き物たちがどんどん見られなくなりました。土地は痩せてきました。土地は代々継承していくものです。豊かな自然を残し、自分たち本来の生活スタイルをとりもどし、豊かな自然とセットで私たちの生き方を伝えていかなければならないと思うのです。しかし、私たちは消費者が見えないまま、農業を続けてきました。
そして結果として豊かな自然さえも失うところだったのです。」

農薬不使用で栽培したから良い、という考え方は大間違い


自然との共生の重要性についてしっかり
勉強させていただきました。これからも
元気なお米を育ててください!

「無農薬でやったから良いという考え方は大間違いです。大切なのはどのように育てたかということです。育て方で、稲は驚くほど姿を変えます。

「無農薬、有機がもてはやされる今の流通に関する観念は間違っていると思います。」と小野寺さんは強調します。なぜなら、無農薬、有機の米が力を持った米であるとは限らないからです。

「ベジタリアンである雁は一切耕起しない私たちの田んぼにだけ飛来し、冬でも生き残っている稲株を目指してやってくるのです。稲株から生えているヒコバエ(新芽)や、真冬の田んぼにたくましく生きている稲の根を食べて、春の旅立ちを待つのです。」

環境共生型の農業の普及と啓発をはかり、その生産物の流通を目指している小野寺さん。この取組は、大崎市田尻を越えて、環境創造型農業の一つとして、これからどんどん仲間が増えて行くに違いありません。

生産者を見極める


東北地方を襲った地震は小野寺さんの
農地も揺るがしました。小野寺さんの
庭の灯籠です。東北は今年大変だった
のです・・・

私たちは、米がどのように育てられたものなのかを確かめ、その米がいかに生命力を秘めたものであるかを、自分の目でしっかり見極めなければならないと思います。 しかし、これは現実的ではありません。
有機農産物の認定をする登録認定機関は、有機栽培に厳しい基準を作っています。近隣圃場からの(農薬が飛来しない・地下水が流れ込まない等)距離や、慣行栽培農産物と有機農産物が混合しないように農機具や倉庫等を分けるなど、定期的に実地の調査を行ないます。
虫の発生を押さえるため、倉庫等のくん蒸もできなくなりました。

化学的に合成された肥料および農薬は、いっさい排除されなければ、有機農産物の認定が取れない仕組みです。しかし、たとえば、農薬が隣の田んぼからどれくらい飛んでくるかを調べるだけでも、どの方角から風が吹いており、どの 田んぼが農薬を散布したかなど、それこそ24時間付きっきりで監視していなければならず、それはあまりにも現実的ではないからです。

そうなってくると、どの人が作った米なのか、その生産者を信頼するしかないように思います。
ほんの一日の見学ではありましたが、私は終始一貫した小野寺さんのポリシーと人柄に接することが出来ました。そして自然と家族共同体を心から愛する笑顔に接することが出来ました。

『生命あふれる田んぼのお米』は雑草と闘いながら、必死に根をはわせ、病虫害にも負けない丈夫に育った稲です。ぬくぬくと育った有機無農薬米とは違います。

私は見てきました。私は保証できます。“本物はおいしい”“力がある”と!!(川井)