生命あふれる田んぼのお米

農薬不使用・無化学肥料米。雑草と競い合って生き抜いた、とにかく元気なお米です!

現地直撃レポート!!その2

小野寺さんと、今回の視察メンバー

『生命あふれる田んぼのお米』は冷夏に負けず丈夫に育っておりました。

雁が証明した小野寺さんのお米の生命力

『生命あふれる田んぼのお米』は冷夏に負けず丈夫に育っておりました。

株式会社スカイフードさんのお誘いで、8月23日から一泊で、「生命あふれる田んぼのお米・雁音(かりおん)米」の視察をかねて、草取りのお手伝いをしてきました。

今年の東北は冷夏で、特に宮城県、岩手県、青森県は米の生育状況が悪いと聞いておりましたので、心配でした。でも、さすが小野寺さんの田んぼは冷夏の影響をほとんど受けずに、立派な稲が成長中です。今年は例年と比べ、日照が著しく少なかったのですが、11月初旬には出荷させていただけそうです。10月中旬からご予約承りますので、どうか宜しくお願い申し上げます。

じつは私、大学で畜産を専攻しました。農場で一年間過ごしましたので、草刈りは得意のはずが、手にはマメが出来そうになるし、お尻の下の筋肉は痛くなる始末。
でも、二日間きれいな環境に過ごし、小野寺さんのお米で作った玄米おにぎりをいただき、すっかり元気になって帰ってまいりました。自然のもつパワーはすばらしいですね。

雁(ガン)がもたらす地球的営み

雁の飛び立ち

小野寺さんの米づくりは、環境ホルモンなど人体への影響が心配される除草剤など農薬や化学肥料をいっさい使用しません。子どもや孫たちにまで安心して食べてもらえるお米づくりを続ける中で、美しい日本の田園風景や自然環境がこの農法によって維持され、守られてゆくことを願って真剣に取り組んでいらっしゃいます。そこに、シベリアから渡来する雁を含む地球的スケールの営みが関係していることを知りました。無化肥・農薬不使用という言葉だけでくくることのできない小野寺さん達の自然農法をご理解頂ければ幸いです。

日本人の“たましい”をゆさぶる『雁行陣』

高く澄み渡った初冬の青空に、太陽が沈みかける夕ぐれどきの1時間。ざわめくような鳴き声が、四方八方から聞こえ始めます。見上げれば、懐かしい言葉通りの雁行陣(がんこうじん)が、頭上を行き交っています。幾度となく上空を群れ飛び交った次の瞬間、一瞬にしてホロッ…っと雁行がほつれ、落ち葉が沼に舞い落ちるかのように着水する雁のむれ。寒さに耐え夕闇の湖面を見つめていないと見られないこのシーンを「落雁(らくがん)」と呼びます。

日本最大の雁(がん)飛来地『田尻周辺』

蕪栗沼の夕焼け

日本最大の雁(がん)飛来地をご存じでしょうか。宮城県北部にある約100ヘクタールの蕪栗(かぶくり)遊水地とその周辺にある田んぼは、北方約8キロにある伊豆沼とあわせると、日本に飛来する雁のおよそ80%が越冬する貴重な地域です。9月頃から翌年の5月初旬頃まで、この湿地を水鳥たちがねぐらとして活用しています。現在の雁の数は4万5,000羽。マガンが中心ですが、最大の雁、ヒシクイが羽を広げると小学校の子供くらいの大きさになります。数万羽の雁が、朝夕一斉に飛び立ち、舞い戻る姿はどれほど壮観でしょうか。そして、日本人の心の奥にひそむ懐かしい感情をよみがえらせてくれます。 私は東京生まれですが、両親は山形県出身で、子供の頃は毎夏・冬に帰省しました。私の記憶の中には冬の空をゆく雁の姿が影絵のように美しく残っております。

雁は知っていた、発芽玄米の生命力

雁は菜食です。その雁が、遠くシベリアから2,000キロの距離を一気に飛んで、大崎市田尻に飛来するのです。
疲れた体を癒し、消耗した体力を回復するために、雁は田んぼに残った落ち穂を真っ先についばみます。
ハクチョウは地面を走りながら滑走してやっと飛び上がることができます。しかし、雁は滑走もせず、一気にその場から飛び立つ巨大なパワーを秘めています。その体力を回復するためにもっとも効果のある食物が、発芽玄米であることを雁は本能で知っていました。

自然が作る発芽玄米

たくさんの雁が落ち穂を
ついばみにやってきます

東北の稲の刈り入れは、早いときでも10月初旬、今年(2003年)は例年の日照の3~4割しかなく、収穫は10月中旬以降とのことでした。秋の日暮れは早く、薄暗い田んぼでたくさんの落ち穂が取り残されます。温度20℃前後で24時間水に浸すと玄米は芽がふくらみます。この状態で気温が低くなると米はその状態のまま冬眠するのです。自然の作った発芽玄米の出来上がりです。

雁が探し当てた田尻の自然

野生動物は賢いのです。もっとも自然で、生命力あふれる食物を探しあてます。

野生動物は敏感です。農薬に汚染された食物は最後に手をつけます。そして、賢い雁のおメガネにかなったのが、大崎市田尻の自然だったのです。

渡り鳥保護に力を注ぐ

「生命あふれる田んぼのお米」生産者、小野寺實彦さんの住む大崎市田尻には「蕪栗沼」という50haの沼があります。この沼を雁や白鳥の越冬の場として、大切に守っていこうと有志が集まり、隣接した50haの田んぼをつぶし、沼化して渡り鳥の保護に力を注ぎました。そのため現在では日本一の雁や白鳥が越冬地となったのです。世界中からNPOの人たちが訪れ、地域の人々とともに、この地をラムサール条約登録指定地にすべく活動をしています。きっと程なくラムサール条約に登録されることでしょう。野生の鳥たちは日本中で一番すばらしい越冬適地を知っているからです。

※2005年9月1日に国指定の特別保護地区として指定され、同年11月8日から ウガンダ共和国で開催された「ラムサール条約第9回締約会議」において ラムサール条約湿地に登録されました。

蕪栗沼のラムサール条約登録までの歩み

売るためでなく、食べていただくために作ったお米

小野寺さんの田んぼにいる生き物たち

小野寺さんたち仲間がつくるお米は、農薬不使用・無化学肥料栽培です。ですが、さらに大切なことがあると小野寺さんは力説します。

「赤トンボと一緒に育ったお米です。一切田起こしをしない不耕起の水田に直接田植えをします。すると稲が必死に根をはわせるため、結果として病害虫に強い稲が育ちます。田にはホタル、どじょう、タニシ、そして赤トンボが育ち、冬には白鳥や雁がやって来ます。雁音(かりおん)米『生命あふれる田んぼのお米』は、売るためではなく、食べていただくためにつくりました。」

「農薬を使わなくなったことはいいことです。有機の農法で作られた作物が消費者に求められるのもいいことです。ですが、もっとも大事なことは、その米がどのように育てられたかということを知っていただくことなのです。」

雁が証明した小野寺さんのお米の生命力

小野寺さんの作る米は生命力がみなぎっています。栄養という考え方以上に、この米がどれだけたくましく育ち、“いのち”そのものを、いかに多く秘めているかということを証明する出来事が数年前に起こりました。

2000年、東北地方は大雪に見舞われました。大崎市田尻の田園地帯にも60㎝の雪がつもり、雁たちは雪の下の落ち穂を摂ることが出来なくなりました。そして、やむなく南の仙台近くで越冬したのです。 春になり、例年なら一気にシベリアまで飛んでいく雁が、秋田、美唄、知床、羅臼と四回も休息をとりながらシベリアに戻ったことが追跡調査で明らかにされました。
他の米とは雲泥の差が出るエネルギーを雁音米は持っているのです。

雁がいなくならない米づくり

蕪栗沼の朝

雁は、かつて日本各地に飛来していましたが、湖沼の埋立や餌場の分断、狩猟により生態数は激減しました。1980年以降、保護策によって羽数は増えましたが、生息地の環境は改善されず、現在では大崎市田尻周辺の湖沼へ一極集しています。

小野寺さんは言います。「佐渡のトキは有名ですが、餌はドジョウです。いま中国産のトキの繁殖に取り組んでいますが、トキがふえたとして、彼らが生きていける環境はどこにあるのでしょう。同じように、雁にとって必要なのは、安全なねぐらを確保できる『広くて浅い沼と餌場となる水田のセット』なのです。カモやハクチョウと比べると越冬できる自然環境は、雁にとっては壊滅的だと言わざるを得ません。雁は、豊かな湿地環境とその生物多様性を象徴する鳥なのです」