おもちゃ箱さん取材レポート

株式会社おもちゃ箱 代表の斉藤社長にお話をうかがいました

おもちゃ箱さん取材レポート♪

ソネットというドイツ製のすばらしい洗剤が登場するらしい

安全性や洗浄力もさることながら、お掃除が楽しくて仕方なくなるような可愛いパッケージだそうで、スタッフの森はすでに、「家中ソネットでそろえたい!」と上機嫌。

ならせっかくなので、一緒に取材に行きましょうということで、今回、森と二人で向かったのは田園調布の住宅街。。本当にそんなエリアに、洗剤の輸入会社があるの?・・・という疑問の前に、そもそも、会社の名前が「おもちゃ箱」とは、商材とあまりにもかけ離れている?・・・数々のクエスチョンマークを抱きながら、到着した私たちを待っていたのは、本当のおもちゃ箱のように可愛らしいたたずまいの社屋でした。

さらに驚いたことに、代表者である斉藤社長は、おもちゃ箱を設立されるまでは幼稚園を運営していらっしゃったとか!というわけで今回は、元園長先生が、ソネットを販売するに至られたまでのストーリーを聞かせていただくことにしました。
斉藤社長は、「自分がやらなくてもよかった」とまでおっしゃるソネット。ですがお話を聞かせていただくうちに、ソネットがはるばる海を越えて日本にやって来たのは、紛れもなく斉藤社長ご自身が様々な出会いを紡いでこられたからだと確信しました。

山下

山下:本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、斉藤社長は、幼稚園の園長でいらっしゃったそうですね。

斉藤社長

斉藤社長:こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
ではまず、幼稚園の園長になるまでの経緯をお話ししますね。
もともとは、母が幼稚園を運営していました。子供の頃は、時々遊びに行ったり、学生時代はアルバイトで手伝いをしたりという関わりはありましたが、将来的に幼稚園の運営を継ぐことはこれっぽっちも考えていませんでした。
私自身は子供の頃から電気に関心があって、自分でラジオや模型飛行機を作ったり、無線をしたりするのが好きだったんです。将来はエンジニアになりたいと思っていたので、大学は理工学部に入り、電気を専攻しました。卒業後は外国留学が決まっていたのですが、渡航予定の直前になって、母が病気で倒れたんです。そのまま母は入院してしまい、看病が必要になりましたから、やむなく留学を諦めました。

山下

お母様のご病気がなければ、そのままエンジニアになられたのでしょうね。

斉藤社長

間違いないと思います。
その間、いろいろなことを考える機会になりましたね。そのうちに、どう考えても電気より人間の方が面白いよなと思い直したんです。
電気工学というものは、自分のなかで完結してしまう分野です。もっと人と関係あることを学びたいと思い立ち、翌年から臨床心理学を学ぶために、研究生という形で大学に戻りました。それがきっかけで、子供の心理治療といったテーマにも興味を持つようになりました。

山下

その後、幼稚園を継ぐことになったのですね。

斉藤社長

30歳頃に、継ぐか継がないかという話が具体的になってきました。そこで私は、幼稚園を継ぐにあたって、どのような形で自分が運営に関わっていくかを考えるために本格的に幼児教育を学び始めたのです。
様々な幼児教育を学んだ末に、どうやらモンテストリーが面白そうだと感じたので、さらに突き詰めようと発祥地であるイタリアに渡りました。現地では十分に時間があったので、他の教育も見てみようと思ったのが、シュタイナーに出会ったきっかけでした。

向こうで初めてシュタイナーを知ったのですが、他の教育では得られない大きな衝撃と感動を得ることができました。これならば幼稚園が継げると、とても嬉しくなりました。そうして帰国後の2年間は必死でシュタイナーを勉強し、その後、1981年から実際にシュタイナーの理念を幼稚園に取り入れ始めたのです。

山下

初めてシュタイナーを取り入れた時のご父兄の反応はいかがでしたか?

斉藤社長

反応は大きかったですね。それまでは一般的な幼稚園として、他園と同様の教育をしていましたので、制服もあれば給食もありました。でも、今日という大切な一日の始まりにも関わらず、制服があるとそれしか選べませんよね。春のうららかなお天気だから、フリルのついたピンクの服を着たいとか、お弁当はバスケットに入れて行きたいとか、本当はそういう自然にわき出てくる気持ちが大切なんです。ですから、制服や園指定の鞄などをなくすことは子どもたちの豊かな心を育む上で必要不可欠なことでした。

ロミ

森:保護者の方々にしてみれば、それなりに大変なことだったのではないかと思うのですが、問題はありませんでしたか。

斉藤社長

そうですね。「何着あれば大丈夫ですか?」とか、「競い合うようになって華美になり過ぎませんか?」とか、子どもたちがあれが欲しい、これが欲しいと言い出すんじゃないかと、保護者の方々の心配は相当なものでした。ですから、その不安な気持ちを聞いたり、理解いただけるように説得したりするのも重要なことでした。丸々一年かかって説明しましたね。
音楽論も然り。これまではピアノの伴奏に合わせて一般的な唱歌をみんなで歌っていたのが、こだわってカリキュラムを作ったので、子どもたちが歌うのは五音階のお母さん達が知らない音楽ばかり。よその園児なら、春が来れば『春が来た』を歌い覚えるわけでしょう。「うちの子は大きくなって本当に大丈夫かしら」というお母さん達の心配が大きかったので、2ヶ月に一度、お母さんのための音楽教室を開くことにしました。
実際に子どもたちが唱っている長音だけがつながった心地よい歌を紹介して、体験してもらうんです。そうするとお母さんも、「幼稚園に来ると気持ちがいいわ」「何かいいことが起こってるのね」と、実際に感じることで安心してもらえるようになりました。

山下

シュタイナーの幼稚園として、草分け的な存在なのでしょうね。

斉藤社長

全国的に見ても、おそらく初めての幼稚園でしょうね。とはいえ、幼稚園は学校法人です。つまり公教育なので、指導要領に沿った教育をする必要があります。そこにいかにしてシュタイナーを取り入れるかということであって、決してシュタイナー教育をやっているわけではありません。「日本の教育だけれど、たくさんシュタイナーを勉強していますよ」という位置づけなので、うちも含め、シュタイナーを取り入れている法人の幼稚園というのは、シュタイナー、シュタイナーと打ち出すことは少ないです。その点は、個人的なグループと異なる点ですね。

山下

大きく打ち出さなくてもご父兄の方々はご存じで、入園を希望されるのですよね。

斉藤社長

そうなのです。実際、少子化の今の時代でもなお、競争率がある幼稚園なんです。とはいえ、ふるい落とさないといけない状況は、決して自慢にならないことだと思っています。なぜなら、シュタイナーの趣旨に反しているからです。子どもたちにとって、初めての集団生活のスタートだというのに、いきなり落っことされるんですものね。本当はちょうどいい人数の応募があって、みんなで一緒にスタートできるのが理想ですが、なかなかそううまくはいかないものです。

山下

確かに、残念なことではありますね。さて、ここまでのお話を伺っていると、斉藤社長が今も現役の園長先生に思えてきて仕方がないのですが(笑)、その後、会社経営に方向転換されたわけですよね。

斉藤社長

最初は、小さな取引から始まったんですよ。シュタイナー的な教育を始めるにあたり、絵画であれば、ゲーテの『色彩論』を味わわせるための画材が必要です。音楽であれば、ライヤーなどといった楽器が必要になります。日本ではまだ誰も手をつけていない分野でしたから、30~40歳頃までの10年間は、私自身が直接現地を視察して、子どもたちのために買って帰っていたのです。

ロミ

幼稚園で必要なものを、ヨーロッパに買い付けに行かれていたのですね。

斉藤社長

はい。ところがその間に、シュタイナーという面白い取り組みをしている幼稚園だということで、雑誌社などに取り上げられ、その影響もあって見学にいらっしゃる方々も増えてきました。楽器やクレヨンなど面白そうな商品なので、ついでにウチの分も輸入して欲しいと依頼されることも多くなり、だんだん輸入量が量が増えてきたんです。幼稚園という組織の中で、貿易に関わるお金がかなりの金額で動いているものですから、これはそろそろ組織を分けるべきだと会計士から指導され、その流れで設立した会社が、おもちゃ箱なのです。

山下

ではそのタイミングで会社経営に専念されるようになったのですか?

斉藤社長

いえ、当初の数年は、園長と社長を兼任していました。夕方の4~5時頃まで幼稚園にいて、その後、会社の事務仕事ですから、寝るのは毎晩2~3時になります。特に会社の方は少人数でやっていましたから、ほとんどすべてのことが自分の仕事だったのです。そんな状態で数年が経った後、幼稚園は、20年間現場を支えてきた生え抜きの現園長に思い切って任せることにして、私自身は教育現場から一切手を引くことにしました。そうしておもちゃ箱の専任になったという経緯です。

山下

幼稚園の歴史の中で、おもちゃ箱という会社が生まれてきたのですね。

斉藤社長

なぜ『おもちゃ箱』という社名にしたかというと、おもちゃの輸入から始まったからです。シュタイナーのクレヨンとか楽器とかいった玩具は、シュタイナー教育の中で大事な教材でもあるんです。それらを扱う中で、現地とのコンタクトが増えれば増えるほど、私たちの教育や生き方に相通じる人々がたくさんいることを実感しました。

キャンプヒルで作っているおもちゃなども扱うようになりました。キャンプヒルとは、障害のある人たちが、健常者といっしょに暮らす共同村です。そこでは障害者が障害者としてではなく、ごく普通のひとりの人間として、その人その人の能力を発揮しながら生活しています。

例えばダウン症の人というのはとても明るくて、どんな場であってもパッと明るくしてしまいます。同じことをあなたはできますかと聞かれると、とても真似できそうにはない能力です。また、自閉症の人は、コツコツといつまでも同じことに取り組めるけれど、自分にはそんな集中力はありません。訪問したイギリスのキャンプヒルでは、200人の障害者と150人の健常者が生活していましたが、もはや何を持って障害者とし、何を持って健常者とするのかがさっぱりわからなくなるんです。

臨床心理学を学んでいた私としては、いままで学んできたこととまったく違う世界に触れた衝撃は、非常に大きかったですね。私が学んだ治療教育とは、必死にトレーニングして、どれだけ普通の人と同じ生活に近づけることができるかというものでした。ところがシュタイナーを知った途端、全くそうではないことがわかったんです。30年間僕は日本の学校で何を学んで来たんだろうと愕然としましたし、その時の衝撃を糧に、こうして今日まで突き進んできたとも言えます。

山下

なるほど、そういったご経験もあって、おもちゃに限定せず、取り扱われる商品がどんどん増えてきたのですね。そして、その中のひとつがソネットですね。

斉藤社長

ソネットはヨーロッパで急成長しているブランドで、おそらくオーガニック洗剤では一番有名でしょうね。オーガニックストアでも、たいてい洗剤コーナーの一番いい場所に置かれていますし、支店もどんどん増えているようです。「いいものがあるな」と思って見てはいたのですが、取り扱うことは考えてもいませんでした。

世界中に支店を持っているシュタイナーの楽器や画材を扱う大きな会社があります。2~3年に一回、各国の支店やエージェントが集まるミーティングがあって、おもちゃ箱も参加をしています。数年前のミーティングの時に、北欧でオーガニックストアをチェーン展開しているストアの代表と話をしていて、話題がソネットになったんです。「斉藤さん、ぜひやれ」と言われたんですが、即、「よし!」とは思えませんでした。
躊躇した理由は、洗剤を海外から輸入するというのは、さすがに商売にならないと思っていたからです。その時までに始めていた化粧品の輸入と比較しても、ボリュームと価格のバランスの悪さは歴然でした。ですからむしろ、貿易をやっている人が洗剤を扱うって大変なことだろうと思っていたくらいなんですよ。

ところが、「なんでこんないい物を知ってるのにやらないんだ!」とポン!と背中を押されて、成り行き上、「じゃあ、やろうか」ということになってしまったんです。お陰様で随分苦しんでいますけどね(笑)。

ロミ

思いもよらぬ展開で取り扱い始められたソネットですが、実際の反応はいかがですか。

斉藤社長

販売開始してまだ2年足らずですが、待ってましたと言わんばかりの好反応です。元々うちの会社は営業が上手でないのですが、ソネットに関しては一切営業しなくても、取り扱いたいというオファーが向こうからやって来るので有り難いことです。

ソネットは、普通の日用品を扱っているスーパーなどからも、扱わせて欲しいと言ってきてくれるんですよ。「へえ、こんな風に人気があるんだ」と正直驚いてしまうのと同時に、正直な気持ちとしては、まだまだ需要が見込める商品なのだから、私なんかがこぢんまりとやらなくても、大手がやってくれていれば一番良かったのにと思うんです。大手がやらないから、うちがやらざるを得なかったんですよ。

山下

ところが、できないんですよね。自己矛盾が生じますからね・・・。

斉藤社長

大手もいい加減に空想の世界から抜け出して、現実をしっかりと見つめて生きることを選択すれば、河川も汚れないし、地球環境も破壊されないんですけれどね。

ソネットに関していいますと、ウォッシュリキッドなど、主なラインナップは全部生分解検査を受けていますから、安心して湖にでも川にでも流すことができます。でも、いくら環境に優しいすばらしい洗剤とはいえ、うちが輸入するのは、1~2ヶ月ごとにたった60フィートです。大手がやってくれたら桁違いだろう、それだけ環境保護が進むのにと思わずにはいられないですね。
私たちは、地球環境や子供たちの育つ環境、生活教育文化も含めて守っていかないといけません。それらが守られないと、次の文化がないんです。それが今の現実です。

ロミ

その使命を帯びていらっしゃるから、ソネットとの出会いがあったということなのでしょうね。

斉藤社長

そうですね、出会いですね。今はいろんなものを扱ってはいますが、おもちゃも洗剤も、そういう意味で全部つながっているんですよね。
いつも、背中を押してくれる人がどこからか現れたり、「私も買うからやっちゃいなさいよ」と応援してもらったり、たくさんの人たちに助けられてきたと思いますね。お付き合いする外国の会社もいいところばかりですし。自分から、「よし、お金儲けしよう!」と思って動いたことって、本当にないんですよ。ですから、未だに営業が下手くそです(笑)。

山下

出会うべき時に、出会うべき人がちゃんと現れるんですね。
あらためて振り返って、人生とはいかがなものでしょうか?

斉藤社長

幼稚園を継いだときに、洗剤や化粧品を売る人になるとはこれっぽっちも思っていなかったですよ(笑)。
何がきっかけになるかはわかりませんが、毎朝目覚めるたびに新しい人生が始まるわけですからね。私たち人間がいかによりよく生きていくべきかと考えると、空想中心で成り立っているような経済や社会ではいけないんです。一番大事なのは、常に今を大切に生きることだと思っています。今をしっかりと生きていきたいですし、宇宙の巡りの心理を生きていくことが大事だということを、しっかりと後生に伝えていきたいですね。

私たちも、常によりよく生きるために、様々な出会い・・・人やもの・出来事その他、今目の前に現れるすべてのものとの出会いを大切にしていきたいと思います。
斉藤社長、素敵なお話をどうもありがとうございました!

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